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「原因不明の慢性咳嗽」と言われると、つい後鼻漏・喘息・GERDを一通り治療して「反応なければ心因性かな」で終わらせがちですが、この総説を読むと反省させられます😅 実は3大原因除外後にも13.1%もの症例がこうした「レア原因」に該当するとのことで、見逃している患者さんが意外といるのかもしれません。
特に驚いたのがOSA(睡眠時無呼吸症候群)との関連です。これまで胃酸逆流と咳の関係ばかり気にしてPPIを漫然と続けていましたが、慢性咳嗽患者の44%にOSAが併存し、逆にOSA患者の33%に慢性咳嗽があるという数字を見ると、これは無視できません。しかもCPAP群はシャムCPAP群より有意に咳が改善したというRCTもあり、1週間という早さで改善したとの報告もあります。「逆流治療で効かない咳イコール難治性」ではなく、実はOSAスクリーニング未実施だっただけ、というケースが潜んでいそうです。
その他に下記のようなものは稀ですが注意が必要です
▶️ Arnold反射(耳介への刺激で咳誘発)は慢性咳嗽患者で25%、健常者では2%と有意差があり、耳垢栓塞の除去だけで治ることもあり、私も経験があります
▶️ ACE阻害薬による咳はARBと比べ相対リスク3.2(95%CI 2.91から3.51)、ARBへの切替後も咳が残るcarryover現象は知っておきたいところです
▶️ ビタミンB12欠乏でも喉頭過敏性が上がり、補充で咳が改善したという報告があるようですが私自身は経験がまだありません。
▶️ 扁桃肥大(Brodsky grade 3から4)による喉頭蓋への機械的接触も咳の原因になり得て、実際に扁桃摘出後に咳感受性が有意に改善したという前向き研究があり、OSA関連咳の改善機序とも重なる可能性が指摘されています
▶️ 心原性咳嗽も見逃しやすく、心不全による肺うっ血だけでなく、心膜嚢胞や右側大動脈弓による気道外部からの圧迫、さらにはPVCやSVTなど不整脈そのものが咳を誘発することもあるようで、動悸の後に咳という病歴は要注意かなと思います.こちらから聞きにいかないと気付けません.
▶️ 気道の構造異常(気管憩室、気管支軟化症など)は胸部単純写真ではほぼ正常に見えるため、難治例では高分解能CTや動的気管支鏡まで踏み込む閾値を下げておくと診断遅延を防げそうです
▶️CANVAS(Cerebellar Ataxia, Neuropathy, and Vestibular Areflexia Syndrome、小脳性運動失調・末梢神経障害・両側前庭機能障害症候群)のように「咳が失調症状より何年も先行する」という神経疾患の存在も、正直この論文で初めて意識しました。家族歴(同胞の不安定歩行)や末梢のしびれがあれば、頭の片隅に置いておこうと思います。
明日からは、難治性咳嗽の患者さんにはSTOP-Bangや問診でOSAを一度スクリーニングし、耳鏡・喉頭内視鏡での機械的要因の除外、内服薬の見直しをルーチンに組み込みたいと感じました🌿
引用文献
Sabarinathan N, Gray R. Rare Causes of Unexplained Chronic Cough in Adults. Otolaryngol Clin N Am. 2026;59:851から866.
「鼻づまりは軽いのに、匂いがしない」。そんな経験はありませんか?👃
鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎で匂いが落ちる仕組みを調べた、マウスの研究です。個人的に一番興味深かったのは、「鼻茸で鼻がふさがり、匂いが届かないから」という昔からの説明だけでは足りないかもしれない、という結果でした。
アレルギー炎症にかかわる物質IL-4を5日間鼻に投与したマウスだけ、隠した餌を見つけるのに約210秒かかりました(対照は約30秒、グラフからの読み取り)。似た働きのIL-13では変化がなく、鼻の粘膜の構造や嗅神経の数も保たれていました。IL-4が匂いを感じる神経や免疫細胞に働きかけ、情報の伝わり方を乱している可能性があります。IL-4の受容体を抗体で止めると、嗅覚は戻りました。
▶️ 変化した遺伝子はIL-4で634個、IL-13で163個
▶️ 人の鼻茸でも同じ免疫関連の遺伝子が増えており、多いほど嗅覚検査の点数が低い傾向(相関係数−0.33〜−0.39)
つまり匂いの低下は、鼻づまりだけでなく、アレルギー炎症そのものが神経に影響して起きている部分もありそうです。鼻づまりが軽くても匂いがしないときは、遠慮なく耳鼻科やアレルギー科に相談してください😊
引用元
Hara Y, Jha MK, Huang JY, et al. The IL-4–IL-4Rα axis modulates olfactory neuroimmune signaling to induce loss of smell. Allergy. 2025;80:440-461. doi:10.1111/all.16338
昨年は長崎、今年は仙台でポケモンGOのリアルイベントが開催されています(〜8日)。
ドラゴンタイプは氷が弱点ですが、私たちの気道にも、冷たく乾いた空気が苦手な方がいらっしゃいます。
息が上がるほど大量に吸い込むと、気管支が狭くなる「運動誘発性気管支収縮」が起こることがあり、喘息のある方は特にご注意ください。喘息と診断されていない方にも起こりえます。
ただし、根拠となっている研究は主に冬のスポーツ選手が対象で、散歩程度の運動についての話ではありません。走る、急ぐ、息が上がるといった場面でご意識いただければと思います。
運動中や運動後の咳、ゼーゼー、胸の苦しさは、体からのサインです。ポケモンはポケモンセンターで一瞬で全回復し、逃げてもまた出会えますが、呼吸は待ってくれません。無理をせず、休憩をとってください。
吸入薬を処方されている方は、忘れずにお持ちください。症状が毎回出る場合は、医療機関への受診をおすすめします。
#ポケモンGO
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アレルギー専門医として、離乳食の相談もよく受けます。「BLW(赤ちゃん主導)とスプーン、どっちがいいですか?」と聞かれることが多いです🍼
米国シカゴの親49人への聞き取り調査です。個人的に一番興味深かったのは、「どちらか一方」ではなく、両方を混ぜている親が多数派だった点です。私は「BLWか従来式か」の二択で説明しがちで、反省しました。
▶️ 開始は生後6か月が22人(45%)、6か月未満が18人(37%)
▶️ ピューレから始め、成長に合わせて手づかみへ移る例が多い
▶️ 選ぶ理由は赤ちゃんの好み、親の余裕、家族や文化など様々
▶️ 小児科医はピューレ寄り、SNSやアプリはBLW寄りで情報が食い違う
明日からの診療では、どちらかが良いというわけではなく、ご家庭の事情を聞いて一緒に方針を決めたいと思います😊
開始時期(生後6か月ごろ)は、アレルギー予防の面でも大切です。
ただし質的研究で、人数も少なく、優劣を明確に比べた研究ではありません。
引用元
Malik S, Jibrell H, King C, Samady W. Parental Experiences with Solid Food Introduction – A Qualitative Analysis of the Feeding Approach. Academic Pediatrics. 2026;26(6):103358. doi:10.1016/j.acap.2026.103358
「コロナで重症化すると、心の病気になりやすい」。そう思っていませんか?😟
カナダ・オンタリオ州の大規模研究です。個人的に一番興味深かったのは、コロナそのものより、「ICUを生き延びたこと」の影響が大きそうだった点です。これまで私は、コロナ後の心の不調を「コロナ特有の後遺症」と考えがちでした。
コロナでICUに入り退院した6,098人を、コロナ以外の重症肺炎でICUに入った2,568人と比べています。新たな精神科診断は100人あたり年間25.3件 vs 25.9件で、調整後のハザード比は1.08(95%CI 0.96-1.23)と差はありませんでした。一方、うつや不安に限ると1.21(1.05-1.40)とやや多く、自宅療養の人との比較では全体で1.39(1.31-1.47)でした。
添付のTable 3は、コロナICU生存者のなかで「どんな人が心の診断を受けやすいか」を見た表です👇
▶️ うつ・不安の既往:2.46倍(2.17-2.80)
▶️ 入院前1年の精神科受診:1回ごとに2.09倍(1.73-2.51)
▶️ 女性は1.27倍、若いほど高い(5歳ごとに0.96倍)
▶️ 人工呼吸器は1.03(0.91-1.16)で関連なし
重症度の高さより、もともとの心の状態のほうが効いているようです。ただし関連を見ただけで、原因とは言えません。
明日からの診療では👇
▶️ 重症肺炎の退院後は、気分の落ち込みや不安も聞く
▶️ 精神科の既往がある方は、特に気にかける
私も退院後は肺の回復ばかり見ていて、心の状態を聞けておらず反省しました🙏
観察研究で、対象の84%は未接種の方です。
引用元
Fernando SM, Qureshi D, Talarico R, et al. Long-Term Mental Health Morbidity in Adult Survivors of COVID-19 Critical Illness: A Population-Based Cohort Study. Chest. 2025;167(6):1651-1666. doi:10.1016/j.chest.2025.01.012
「菌が出ただけだから、様子見で」。肺の菌について、そう済ませていませんか?🤔
イスラエル北部の非結核性抗酸菌(NTM)の研究です。個人的に一番興味深かったのは、「病原性が低く、ただの定着」と教わってきたM. simiae(シミアエ菌)の結果でした。分離される割合も20.7%から27.8%へ増えているようです。日本ではあまり見慣れない菌ですね。
症状・画像・培養がそろい、肺NTM症の基準を満たした割合は、
▶️ MAC:35.3%
▶️ M. simiae:27.7%
で有意差なし(P=.419)。
年齢などを調整すると、死亡リスクはMACより高く、ハザード比1.84(95%CI 1.05-3.23)でした。
ただし調整前は1.44(0.84-2.49)で有意ではなく、死因も不明です。しかもMAC以外の「その他の菌」でも1.99(1.21-3.30)と同様の傾向で、M. simiae特有とは言えません。「MAC以外は無害」と決めつけてよいのか、という問いを投げかけた研究だと思います。
明日からの診療では👇
▶️ MAC以外も「定着だろう」と流さない
▶️ 症状、CT、複数回の培養で基準を確認する
私も「どうせ定着だろう」と流していて反省しました😊 後ろ向き研究で、日本とは菌の分布が違う可能性があります。
引用元
Even-dar R, Raz I, Brodsky M, et al. Nontuberculous Mycobacterial Infection and Pulmonary Disease in Northern Israel: A Focus on Mycobacterium simiae. Chest. 2025;167(6):1547-1556. doi:10.1016/j.chest.2024.11.026
抗生物質を2回飲んでも治らない若者の肺炎、原因は電子タバコかもしれません。💨
今回は、電子タバコ・ヴェイプによる肺障害(EVALI)の診断を扱った論文です。
臨床家が知っておいた方がよかったのは、この病気が意外に多いことでした。米国ユタ州の推計では、使用者10万人あたり年間約295人で、肺塞栓症(一般成人で10万人あたり50〜100人)の3〜6倍です。患者さんの年齢は中央値25歳前後と若く、その頻度は肺炎と並ぶほどでした。
昔から「診断を決める検査がないので、除外診断。感染症などを気管支鏡で徹底的に探す」と教わってきました。実際、この施設でも当初は入院例の8割超で気管支鏡をしています。ところが約30例の検査で、本物の感染症は1例だけ。一方、検査が誤って陽性になる偽陽性が4例ありました。著者らは、典型的な経過なら症状と画像で臨床診断してよい、という新しい視点を示しています。
手がかりは咳や息切れだけでなく、吐き気・嘔吐などの消化器症状(8〜9割)や、血沈が100mm/hを超える例もあることです。
明日からの診療では、こう変えたいと思います👇
▶️ 抗菌薬が効かない若者の肺炎では、ヴェイプや大麻成分(THC)入りカートリッジの使用を具体的に聞く
▶️ 吐き気や血沈高値も手がかりにする
▶️ 典型例では、気管支鏡より禁煙(ヴェイプ中止)と経過観察を優先する
なお、これは2019年の米国の流行下で、1施設の経験をもとにした論考です。日本にそのまま当てはまるとは限りませんのでご留意ください。
引用元
Aberegg SK, Maddock SD, Blagev DP, Callahan SJ. Diagnosis of EVALI: General Approach and the Role of Bronchoscopy. Chest. 2020;158(2):820-827. doi:10.1016/j.chest.2020.02.018
「CPAPを毎晩つけているのに、昼間まだ眠い」。そんな方、外来にいませんか?😴
CPAP治療中に残る昼間の眠気についての総説を読みました。臨床家として知っておきたかったのは、「使えている=眠気も取れている」とは限らない、という点です。
昔から「1晩4時間以上、7割以上の夜に使えていれば合格」と教わり、私もそう見てきました。ただ、これはあくまで最低ラインのようです。
▶️ 使用が4〜5時間の方:73%に眠気が残っていた
▶️ 6〜7時間の方:約32%
▶️ 7時間以上の方:7%
使う時間が長いほど、眠気は減っていきます。さらに驚いたのは、7時間以上使っている方の38%が、昼間に横になるとすぐ寝入ってしまう検査で「実際にはかなり眠い」と判定されたことです。眠気の自己評価の点数が低くても、体は眠いという方がいるのですね。点数が低いのに昼寝が長い方を、点数だけで安心して見逃していて、とても反省しました。
明日からの診療では、こんな点を意識したいと思います👇
▶️ 質問票の点数だけでなく、昼寝の長さやご家族の目線も聞く
▶️ CPAPを使う時間を、できれば6〜7時間まで伸ばすよう促す
▶️ 睡眠不足、うつ、むずむず脚症候群、甲状腺の病気なども確認する
「使えているのに眠い」は、気のせいではないかもしれません😊 気になる方は、遠慮なく主治医に相談してみてください。
引用元
Javaheri S, Javaheri S. Update on Persistent Excessive Daytime Sleepiness in OSA. Chest. 2020;158(2):776-786. doi:10.1016/j.chest.2020.02.036
鉄剤を「朝晩2回」で内服していませんか? その飲み方、吸収を落としているかもしれません⚠️
スイス・ETHの研究(鉄欠乏性・非貧血の若年女性、安定同位体法)で、60mg以上のFeSO4を朝に飲むとヘプシジンが24時間ほど上昇し、翌日の鉄吸収率が35〜45%も低下していました🩸。
用量を6倍(40→240mg)にしても、吸収された鉄は約3倍にとどまります。
さらに60mgを朝・夕・翌朝の3回に分けても、総吸収量は23.6mgで、朝2回(22.6mg)と有意差なしでした(P=0.79)。ヘプシジンは48時間で概ね元に戻るため、1日おきが理にかなうようです。
当院のような田舎の外来でも、以前は毎日分割処方がデフォルトになっていたかなと思います。
明日から変えること
▶️ 少量(40〜80mg)を1日1回、隔日投与も選択肢に
▶️ 「1日2回」は見直す
【引用】Moretti D, et al. Blood. 2015;126(17):1981-1989.
喘息と片頭痛は併存しやすいことが知られているので、アクイプタが急性期にも使えて費用面の負担も下がるなら朗報ですね。
咳が続くうえに頭痛まで重なるのは本当につらいので、選択肢が増えるのは心強いです。
咳・痰と食物アレルギー 医学情報ノート retweeted
正直、この論文には「えっ、そうだったの!?」と唸らされました🙂 これまで私たちは漠然と「マクロライド単剤は危ないから必ず併用薬を」と教わってきましたが、その根拠となる濃度の話まで踏み込んだ研究は実はほとんどなかったんですよね。
今回のtime-kill assay+PK/PDモデリングでは、耐性が最も出やすいのはAZM(アジスロマイシン) 2–4×MICという「中途半端に効いている」濃度域だったというのが興味深いところ。むしろ8–16×MICやsub-MICでは耐性が出にくい。
そして臨床的に一番刺さったのがEB(エタンブトール)の位置づけです。
▶️ EB 0.25×MICの併用だけで耐性完全抑制
▶️ シミュレーションではEB 10mg/kg/日 or 20mg/kg週3回でも耐性抑制率99%以上
▶️ 一方RIF(リファンピシン)・AMK(アミカシン)は30mg/kg/日でも耐性再発率52%・35%残存
「RIFやAMKも耐性抑制に効いている」という昔ながらの感覚とはズレがあり、EB中心主義を裏付ける結果でした。ただしEBは殺菌効果ゼロ(除菌率0%)なので、除菌狙いならRIF/AMK併用(除菌率69%/31%)の意義は残る、という使い分けが明日からの診療のヒントになりそうです。
出典: Watanabe F, et al. J Infect Chemother. 2026;32:103042.
咳・痰と食物アレルギー 医学情報ノート retweeted
「原因不明の慢性咳嗽」と言われると、つい後鼻漏・喘息・GERDを一通り治療して「反応なければ心因性かな」で終わらせがちですが、この総説を読むと反省させられます😅 実は3大原因除外後にも13.1%もの症例がこうした「レア原因」に該当するとのことで、見逃している患者さんが意外といるのかもしれません。
特に驚いたのがOSA(睡眠時無呼吸症候群)との関連です。これまで胃酸逆流と咳の関係ばかり気にしてPPIを漫然と続けていましたが、慢性咳嗽患者の44%にOSAが併存し、逆にOSA患者の33%に慢性咳嗽があるという数字を見ると、これは無視できません。しかもCPAP群はシャムCPAP群より有意に咳が改善したというRCTもあり、1週間という早さで改善したとの報告もあります。「逆流治療で効かない咳イコール難治性」ではなく、実はOSAスクリーニング未実施だっただけ、というケースが潜んでいそうです。
その他に下記のようなものは稀ですが注意が必要です
▶️ Arnold反射(耳介への刺激で咳誘発)は慢性咳嗽患者で25%、健常者では2%と有意差があり、耳垢栓塞の除去だけで治ることもあり、私も経験があります
▶️ ACE阻害薬による咳はARBと比べ相対リスク3.2(95%CI 2.91から3.51)、ARBへの切替後も咳が残るcarryover現象は知っておきたいところです
▶️ ビタミンB12欠乏でも喉頭過敏性が上がり、補充で咳が改善したという報告があるようですが私自身は経験がまだありません。
▶️ 扁桃肥大(Brodsky grade 3から4)による喉頭蓋への機械的接触も咳の原因になり得て、実際に扁桃摘出後に咳感受性が有意に改善したという前向き研究があり、OSA関連咳の改善機序とも重なる可能性が指摘されています
▶️ 心原性咳嗽も見逃しやすく、心不全による肺うっ血だけでなく、心膜嚢胞や右側大動脈弓による気道外部からの圧迫、さらにはPVCやSVTなど不整脈そのものが咳を誘発することもあるようで、動悸の後に咳という病歴は要注意かなと思います.こちらから聞きにいかないと気付けません.
▶️ 気道の構造異常(気管憩室、気管支軟化症など)は胸部単純写真ではほぼ正常に見えるため、難治例では高分解能CTや動的気管支鏡まで踏み込む閾値を下げておくと診断遅延を防げそうです
▶️CANVAS(Cerebellar Ataxia, Neuropathy, and Vestibular Areflexia Syndrome、小脳性運動失調・末梢神経障害・両側前庭機能障害症候群)のように「咳が失調症状より何年も先行する」という神経疾患の存在も、正直この論文で初めて意識しました。家族歴(同胞の不安定歩行)や末梢のしびれがあれば、頭の片隅に置いておこうと思います。
明日からは、難治性咳嗽の患者さんにはSTOP-Bangや問診でOSAを一度スクリーニングし、耳鏡・喉頭内視鏡での機械的要因の除外、内服薬の見直しをルーチンに組み込みたいと感じました🌿
引用文献
Sabarinathan N, Gray R. Rare Causes of Unexplained Chronic Cough in Adults. Otolaryngol Clin N Am. 2026;59:851から866.
感染症専門医として梅毒の増加を見てきた身には、国全体で梅毒が半分以下に減った国が出てきたという報告は衝撃でした😲これまで私たちは、梅毒やクラミジア対策は「定期スクリーニングして見つけて治す」ものと教わってきましたし、それで十分と考えがちでした。論文でも、無症候者のスクリーニングだけで集団の有病率が持続的に下がる実証はないと述べられています。
オーストラリアの29施設・MSM 78,560例の定点サーベイランス(ACCESS、2022〜2025年)で、全国ガイダンス(2023年9月)後27か月を、それ以前の傾向が続いた場合と比べると、
▶️ 梅毒は累積診断数が55%減(RR 0.45、95%CI 0.35〜0.55)
▶️ クラミジアは36%減(RR 0.64、0.45〜0.84)
▶️ 淋菌は有意差なし(RR 1.11、0.59〜1.63)
▶️ 直近1年に性感染症歴のある群の梅毒はRR 0.36とさらに大きな減少でした
ただし解釈には注意が必要です⚠️
▶️ 個人のdoxyPEP使用を確認したわけではなく、因果ではなく「ガイダンス後の集団レベルの関連」です
▶️ 行動変化などの未測定因子は否定できません。ただ淋菌だけ減っていないことから、著者は行動変化だけでは説明しにくいとしています
▶️ 淋菌はテトラサイクリン耐性が高く(豪州で最大60%)、効果が弱いと考えられます
日本では梅毒が急増しており、再発を繰り返す高リスクの方にどう向き合うかは悩ましいところです。doxyPEPは日本では適応外で、耐性菌の懸念もあるため慎重に考えたいところですが、選択肢として世界で議論されていることは知っておきたいかなと思います🙂
【引用元】Traeger MW, Asselin J, Aung HL, et al. Population-level impact of doxycycline post-exposure prophylaxis on bacterial sexually transmitted infections. Nature Health 2026. DOI: 10.1038/s44360-026-00211-0
NEJMという雑誌から、インスリンを使っていない2型糖尿病でもCGMを貼ると、HbA1cが0.9ポイントも余分に下がるかもしれないという論文の紹介です(想定通りですが)😲
これまで私は「CGMはインスリン使用者のもの。非インスリン治療なら血糖自己測定(SMBG)か、HbA1cだけで十分」と考えてきましたし、ADAのStandardsでも非インスリン治療に対するエビデンスはレベルCでした。
CONNECT試験(米国プライマリケア22施設、HbA1c 7.5%以上、26週、n=283)では、
▶️ HbA1cは8.8→7.2%(CGM群)vs 8.7→8.0%(通常ケア群)、調整後差−0.9ポイント(95%CI −1.1〜−0.6、P<0.001)
▶️ TIR(70〜180mg/dL)は62% vs 42%で、差は21ポイント(1日約5時間分)
▶️ HbA1c 7.0%未満達成は46% vs 24%(探索的解析)
▶️ 重症低血糖は両群0件
ただし冷静に見たい点もあります⚠️
▶️ 対照群も−0.7ポイント下がっており、通院頻度が通常診療よりかなり多い設計(著者も試験効果と述べています)
▶️ CGM群で薬剤追加が多かった(31% vs 17%)ので、効果の一部は治療強化の影響もありそうです
▶️ 26週と短く、センサーは無償提供、企業(Dexcom)資金です
HbA1c高値で行動変容が進まない非インスリンの患者さんに、短期でもCGMを使って食事や運動と血糖の関係を「見える化」する選択肢が取れると良いですよね。
日本では保険適用の条件がありますので、そこは確認が必要かなと思います🙂
呼吸器の外来でも糖尿病併存の方は多く、ステロイド使用中の血糖把握にも使えないかと、つい考えてしまいました。
【引用元】Oser TK, Martens T, Ruedy KJ, et al. Continuous Glucose Monitoring in Non–Insulin-Treated Type 2 Diabetes. N Engl J Med 2026;395(17):1717-1727. DOI: 10.1056/NEJMoa2608571
NEJMから。COPDの増悪を繰り返す患者さんに、好酸球が低くても使える生物学的製剤の可能性についての試験です😲
個人的に一番興味深かったのは、好酸球数を問わず増悪が約3割減っていた点です。これまでは「生物学的製剤はType2炎症(好酸球高値)の人に」と教わり、トリプル吸入でも増悪を繰り返す好酸球低値の方には打つ手がなく、歯がゆい思いをしてきました。
抗IL-33抗体tozorakimab(4週ごと皮下注)の第3相2試験(OBERON/TITANIA)では、
▶️ 元喫煙者の年間増悪率は1.34 vs 1.90(RR 0.71)、1.37 vs 2.07(RR 0.66)
▶️ 現喫煙者を含む全体でもRR 0.70、0.71(いずれもP<0.001)
▶️ 好酸球<150/µLのサブグループも点推定値は同方向(探索的解析)
一方、慎重に見たい点もあります⚠️
▶️ SGRQ差は−1.62、−0.59で有意差なし(階層検定はここで停止)
▶️ 重篤な有害事象による死亡は2.5% vs 0.9%、MACEは2.5% vs 1.1%(TITANIA)。数は少ないものの注意が必要です
▶️ プラセボ群の増悪率が約2.0と高めでした
明日からの診療では、「好酸球が低いから生物学的製剤は無理」と考えていた増悪反復例を、将来の適応候補として意識しておきたいと思います。まだ未承認ですが、それまでは吸入手技・アドヒアランスの再確認とワクチン、呼吸リハの見直しを丁寧にやり直そうかなと思います🙂
【引用元】Sciurba FC, Watz H, Bourdin A, et al. Tozorakimab to Prevent COPD Exacerbations. N Engl J Med 2026;395(17):1703-1716. DOI: 10.1056/NEJMoa2606998
すごい勉強になる✍️
Replying to @DachsClinic
全員FIB-4出してくれるところありますよね🤣
正直、FIB-4高値を理由に紹介いただくことはほとんどないので、そこまでマメに見ていただいている先生は少ない印象です。
ただ、トランスがそれほど高くないから大丈夫とも限らなくて、MASLDや慢性肝疾患では、トランスの異常が目立たないようでも静かに線維化が進んでいることがあります。PBCなどは採血の時期によって肝障害の目立ち方が変わるので、そういう病気が隠れてないかFIB-4高値が拾われたら一度線維化を評価する意味はあると思います。
トランス高値や脂肪肝がある患者さんなら、「FIB-4も高値です」と添えて消化器に紹介いただければ、原因となる肝疾患の精査+線維化評価までしますので、全然OKです!
FibroScanは定量的に肝硬度が出ますし、点も取れるので、紹介前に「この人はより悪そう」と絞り込む判断軸としては有用だと思います。
我々はそれに加えて、肝辺縁・表面・実質、脾腫などの形態所見も見ています。ただ、そこまで一次診療側でやろうとするとハードルが上がるので、経験のある技師さんがいればUSで見てもらう、そうでなければFIB-4高値の段階で紹介、で十分だと思います。
長々と失礼しました!🙏





























