パウロ・マッキャリーニ(Paolo Macchiarini)(スウェーデン 記事更新
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【長文注意】21世紀前半の最大級スキャンダルである。
2008年(49歳)、スウェーデンのカロリンスカ医科大学のマッキャリーニは、患者の幹細胞を使った人工気管移植に「世界で初めて成功」し、再生医療の英雄「スーパー外科医」となった。
しかし、プラスチック製気管を移植された患者の大半は死亡した。しかも、論文では患者の容態の悪化を隠し、手術は成功したと発表していた。
2014年(55歳)、カロリンスカ医科大学病院の医師4人が論文にねつ造・改ざんがあると告発した。
2015年8月(57歳)、それにもかかわらず、大学はマッキャリーニを「無罪」とし、その一方で告発者を冷遇した。
ところが、2016年(57歳)、米国の月刊総合誌「ヴァニティ・フェア(Vanity Fair)」誌がマッキャリーニの結婚詐欺と悪行の数々を暴露した。また、スウェーデン公共放送(SVT)のドキュメンタリー番組「実験(Experimenten)」がマッキャリーニの治療法のデタラメさを放映した。
事態は急転し、マッキャリーニはカロリンスカ医科大学から解雇された。
2023年(65歳)、重傷害罪で禁錮2年6か月の実刑判決が確定した。
2026年10月現在、撤回論文は15論文、パブピア(PubPeer)で問題を指摘された論文は36論文になる。
この事件は、白楽指定の重要ネカト事件である。
①ノーベル賞クラスの非常に画期的な手術法を開発し英雄視されたが、手術の成功がウソだった。
②マッキャリーニの治療法で手術した患者21人のうち16人が死亡した(含・推定)。
③米国・NBCニュースの女性プロデューサーとの結婚詐欺の大スキャンダル。
そして、経歴詐称も発覚し、小保方事件のようにメディアが大騒ぎし、ドキュメンタリーやドラマも作られた。
土壌・地下水管理学:ヨーク・リンキーベ(Jörg Rinklebe)(ドイツ)と多数の日本の共著者
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ヨーク・リンキーベ(Jörg Rinklebe)は、ドイツのヴッパータール大学(University of Wuppertal、Bergische Universität Wuppertal)の土壌・地下水管理学の教授で、土壌汚染・微量元素・バイオ炭の分野で「世界1位」を誇る高被引用研究者である(だった)。
担当編集者の利益相反(談合出版、査読偽装)、著者の無断変更(論文売買?)、引用カルテルの疑い、データの重大な誤り、画像の重複(改ざん)、既発表データの帰属不明示(自己盗用)などを理由に、2026年1~10月(57歳)に16論文が撤回された。
リンキーベは研究不正疑惑にまみれた教授だが、所属するヴッパータール大学は2024年に「十分な証拠がない」として正式調査を見送った。しかし、大学は「不正なし」と結論したわけではない。
リンキーベ論文の共著者になっている日本の大学・研究所の研究者は10人いるが、今のところ、論文は撤回されていない。
古家 琢也(Takuya Koie)の疑惑論文数(パブピアの指摘数)は告発時12論文だったが、岐阜大学はネカト調査をしない印象の返事。haklak.com/page_takuya_koie.…
疑惑論文数は増えて、現在、16論文になっている。今後、もっと増える?
pubpeer.com/search?q=%22Taku…
心理学:ヤニック・グリープ(Yannick Griep)(オランダ)
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ヤニック・グリープ(Yannick Griep)は、オランダのラドバウド大学(Radboud University)・準教授で、産業・組織心理学分野の「輝ける新星」だった。
2024年11月(36歳?)、実験参加者への謝礼の請求書偽造が発覚し、即時解雇された。これを契機に過去の研究データが調査され、大学調査委員会が捏造・改ざんありと認定した。
さらに、編集長を務めていた学術誌『Group & Organization Management』で、自身が共著者の論文の査読プロセスを捏造していたことも発覚し、出版社セージ(SAGE)は2026年7月(38歳?)にグリープの8論文を撤回した。
今朝(2026年10月20日)、撤回監視(Retraction Watch)のアヴェリィ・オラル(Avery Orrall)記者が物質・材料研究機構の研究不正事件を記事にした、と白楽に連絡してきた。retractionwatch.com/2026/10/…
日本の新聞はこの事件を記事にしなかった(白楽調べ)。
元研究員でインド出身のジョセフ・ラジ・ザビエル(Joseph Raj Xavier)が研究不正したこの事件です → haklak.com/page_toshiyasu_ni…
ザビエルは撤回論文数が41論文で世界ランキング22位(番号は26番)。
Japanese institute finds materials researcher with 41 retractions guilty of ‘extensive’ manipulation retractionwatch.com/2026/10/…
1‐5‐1 ネカトハンター(nekato hunters、scientific sleuths) 記事更新
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ネカトハンターはネカト(研究不正)を見つけ・通報・追及する第一次追及者である。
専従の職員はいない。ほぼすべて民間の無料ボランティアで、世界に約50人ほどいる。本稿でその一覧表を示した。
ネカトハンターは研究公正レベルを高め維持するネカト改善の最強のエンジンだが、現在の日本には白楽がボソボソと活動しているのみで他にはいない。
政府・学術界はネカトハンターをしっかり育成・支援すべきだが、世界でも日本でもほぼ全く育成・支援されていない。
沖 昌也(Masaya Oki)(福井大学)
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研究不正の告発です。
福井大学・学術研究院工学系部門の沖 昌也・教授(生物応用化学)の研究室が2022~2024年に出版した白内障研究の5論文は、同じマイクロアレイの測定ファイルを、それぞれ別の実験データとして使い回していた。
白楽が5論文のGEO登録データ(元の測定ファイル38個)を照合した。すると、2016年にスキャンした対照群の1ファイルが5論文すべてに、2019年にスキャンしたガラクトース群の3ファイルが4論文に、別々の試料番号で登録されていた。
ファイルの中身、スキャン日時、チップの識別番号が完全に一致していた。つまり、「データの使い回し」(改ざん)は明白である。
なお、この5論文には学術誌が「懸念表明(Expression of Concern:EOC)」を付していた。
適切な調査・対処をして下さるようお願い申しあげます。
7-199 APCトラップと、学術出版の問題点
haklak.com/page_2026_cantrel…
研究者倫理と関係するかな、と思って読み始めた論文だったけど、関連は薄かった。
米国の研究大学(コロラド大学ボルダー校、マサチューセッツ大学アマースト校、テネシー大学ノックスビル校、ピッツバーグ大学)に所属する研究者がオープンアクセス(OA)出版をどう思っているかというアンケートだった。
これら比較的恵まれた研究環境にある研究者は、オープンアクセス(OA)出版の理念には賛同しながら、論文出版料(APC)の負担には強い不満と無力感を抱いていた。
この心理的矛盾を、著者らは「APCトラップ」と名づけた。
オープンアクセス(OA)出版の財政的負担、公平性への懸念、出版判断の制約など8種類のカテゴリーに分類し、分野・機関・出版形態による違いを明らかにした。
白楽の卓見・浅見32 【2026年版:ノーベル賞受賞者・候補者の不正(含・疑惑・うわさ)】記事更新
haklak.com/page_view_32.html
日本(のメディア)はノーベル賞受賞者を、専門分野で優れた業績を上げた人というだけでなく、全知全能のように扱う。その上、倫理観や徳の高い人として扱う。
ノーベル賞の受賞条件に、他領域での業績評価や倫理観・徳の評価は入っていないので、白楽は、このような扱い・評価をなんだかな~、と感じてしまう。
事実として、20 人以上のノーベル賞受賞者の論文が撤回されている。
本稿で「ノーベル賞受賞者・候補者の不正(含・疑惑や関連)」を2026年版に更新した。なお、この記事は「白楽の卓見・浅見3【ノーベル賞受賞者の不祥事は多いと思うべし】 2021年8月3日掲載」の改訂版である。
ピーター・ラトクリフ(Peter Ratcliffe)(英)ノーベル賞受賞者
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本日の10月5日夕方(日本時間)、2026年のノーベル生理学・医学賞の受賞者が発表される。
2019年は英国オックスフォード大学・教授のラトクリフ(65歳)が受賞した。
ところが、受賞1年後の2020年10月(66歳)、ラトクリフの「2006年のCancer Research」論文に画像の使い回し疑惑が指摘された。
学術誌が「懸念表明」を発行したのは4年半後の2025年6月(71歳)で、撤回ではなかった。
レオニッド・シュナイダー(Leonid Schneider)はこの対応を酷評し、15報を撤回したノーベル賞共同受賞者のグレッグ・セメンザ(Gregg Semenza)教授との落差を指摘した。なお、オックスフォード大学はネカト調査をしていない(白楽の推定)。
ケイ・デイヴィス(Kay Davies)(英)
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英国の分子生物学者でオックスフォード大学名誉教授のケイ・デイヴィス(Kay Davies、当時60代後半から70代)の複数の研究論文が、画像重複などのデータ改ざん疑惑がPubPeer等で指摘された。
さらに、彼女が学術誌『Human Molecular Genetics』の編集長として、他の研究者の研究不正疑惑を隠蔽・擁護した疑いも持たれている。
オックスフォード大学は予備調査を行なったが、「研究不正の証拠はない」として不問に付し、本格的な調査をしなかった。現時点で撤回論文数は0本である。
材料工学:西村 俊弥(Toshiyasu Nishimura)、ジョセフ・ラジ・ザビエル(Joseph Raj Xavier)(物質・材料研究機構) | 白楽の研究者倫理
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昨日(2026年9月29日)、調査報告書と共に調査結果を伝える点線以下のメールを受け取った。
調査結果は、物質・材料研究機構のウェブサイトに公表されているので、ここでは省略する。
調査結果 → nims.go.jp/news/2026/09/2026…
調査報告書 → nims.go.jp/news/2026/09/flce…
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お茶の水女子大学名誉教授
白楽ロックビル 先生
昨年1月22日に通報メールを頂戴しました件につきまして、調査委員会による調査が終了しましたので、「国立研究開発法人物質・材料研究機構研究活動における不正行為の防止等に関する規程」第21条第1項に基づき、添付のとおり調査結果を通知いたします。
なお、本件調査結果につきましては、本日付で当機構ウェブサイトにおいても公表しておりますことを申し添えます。
本件調査結果を受け、当機構といたしましては、添付「4.当機構が行った措置」にありますとおり、不正行為が認定された論文の取下げを調査対象者に対して勧告したほか、Xavier氏の現所属機関に対しても本件調査結果を報告するとともに、当該所属機関においても調査等の適切な対応をとるよう依頼いたしました。
また、今後このような事態を引き起こさないよう、研究倫理教育の一層の徹底を図り、再発防止に取り組んでまいります。
このたびは、通報をお寄せいただき、誠にありがとうございました。
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国立研究開発法人物質・材料研究機構
法務・コンプライアンス室
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「博士号はく奪」:ベング・シゼン(Bengü Sezen)(米)記事更新
haklak.com/page_bengu_sezen.…
シゼンは、トルコの中東工科大学の学部・修士を卒業後、2000年(23歳?)、米国のコロンビア大学(Columbia Unive rsity)・化学科の大学院生になった。
院生の時にネカトをしたが、2005年(28歳?)にコロンビア大学の博士号を取得し、ネカト調査が始まる前に、ドイツのハイデルベルク大学の大学院生になり、2009年(32歳?)、ハイデルベルク大学で分子生物学の博士号を取得した。
取得の2年前の2007年(30歳?)、コロンビア大学・調査委員会はシゼンをクロと認定した。
2010年(33歳?)、米国の研究公正局もクロと認定し5年間の処分を科した。コロンビア大学は2011 年3月(34歳?)にシゼンの博士号を取り消した。
しかし、シゼンは、「ベング・エルギュデン(Bengü Ergüden)」と名前を変え、母国トルコのゲブゼ工科大学・準教授として研究者を続けている。
シゼンは、姓名を「洗浄」、学歴を「洗浄」、研究分野を「洗浄」、と不正の経歴を3つも「洗浄」した。
米国での分野は化学だが研究公正局が扱ったので生命科学枠に書いた。
「読者からの情報提供」
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題名: PubPeer上で指摘されている論文について
白楽先生
いつも先生のブログを拝見しております。
PubPeerにおいて、以下の研究者が関係する論文について問題点が指摘されていますので、情報提供としてお知らせいたします。
事情により、匿名での情報提供とさせていただきます。
何卒ご理解いただけますと幸いです。
河岡義裕先生 東京大学医科学研究所 特任教授
pubpeer.com/publications/D7F…
佐藤佳先生 東京大学医科学研究所 システムウイルス学分野 教授
pubpeer.com/publications/0C7…
pubpeer.com/publications/F43…
ご参考までにお送りいたします。
何卒よろしくお願いいたします。
イヴォンヌ・“ミッシー”・ウッズ(Yvonne “Missy” Woods)(米)
haklak.com/page_yvonne_woods…
イヴォンヌ・"ミッシー"・ウッズ(Yvonne "Missy" Woods)は、米国コロラド州捜査局(CBI, Colorado Bureau of Investigation)で29年間DNA鑑定を担当した法科学者(フォレンジック・サイエンティスト)である。
2023年9月(63歳?)、局内でDNA定量値の改ざんが発覚した。内部調査で2008~2023年(48~63歳?)の15年間に、1,000件を超える刑事事件で、データの削除・改ざん・不完全な報告をしていたことが確認された。
殺人・性的暴行事件の有罪判決の信頼を根底から揺るがした「ベテラン鑑定人」は、2025年1月、偽造・偽証・公務員への影響行使未遂・サイバー犯罪の疑いで102件の重罪容疑で起訴された。
2026年6月に4件の重罪について有罪を認め、その3カ月後の今月(2026年9月8日、66歳)、禁錮10年・保護観察3年の実刑判決が下された。
白楽とAIの卓見・浅見31【自己引用率の高い日本の研究者ランキング】
haklak.com/page_view_31.html
自己引用率とは、研究者が自分自身の過去の論文を引用する割合である。
スタンフォード大学のジョン・ヨアニディス教授(John Ioannidis)らの引用データベースでは、世界の科学者の自己引用率の中央値は12.7%で、25%を超えると精査の対象になるとされる。
日本では工学・情報通信技術・物理学分野を中心に、自己引用率が50~87%に達し、自己引用を除くと世界順位が数十万位から数百万位も下がる研究者が複数人いる。
自己引用そのものは研究不正(捏造・改ざん・盗用)には含まれないが、行き過ぎれば研究評価をゆがめる「引用操作」として国際的に問題視される。
過剰な自己引用は、「ズルをして」「他人を欺いて」得をしようとする研究詐欺(研究不正)だと白楽は考えている。
7-198 異常な引用者の検出法、50件の引用を300ドルで購入
haklak.com/page_2025_ibrahim…
本論文は、アラブ首長国連邦のニューヨーク大学アブダビ校(New York University Abu Dhabi)のハゼム・イブラヒム(Hazem Ibrahim)ら4名が、Google Scholar上の約160万件のプロフィールを分析し、異常な集中引用を検出する新指標「引用集中指数(citation concentration index)」(略してc²指数(c²-index ))を提案した。
さらに、引用販売組織から実際に50件の引用を300ドルで購入するなどの実験を行なった。
また、自己引用や引用カルテルにとどまらない新たな引用不正、具体的には、プレプリントサーバーの悪用と引用の商業的売買の実態、を実証した。
それらの結果、引用数偏重の学術評価に警鐘を鳴らしている。
昨日(2026年9月15日)の記事。
朝日新聞の瀬川茂子記者に頼まれ、コメントした記事。科学面の記事でデジタル版と少し異なる。
digital.asahi.com/articles/D…
Force/May the Forceさんは、昨日読んだとのこと。素早いですね。
ーー以下、記事の抜粋(記事の論旨とは異なるけど)ーー
英国の分子生物学者ショルト・デービッド氏が6月、自身のブログである問題を指摘した。
・・中略・・
問題視されたのは、細胞老化の指標として重要なたんぱく質「p16―INK4a」。名前が似た別のたんぱく質「p16―ARC」もある。これらを検出するそれぞれの「抗体」を取り違えれば、細胞の老化を見ているつもりで、別のものを見ていることになる。
その取り違えが推定される論文が300本以上見つかったというのだ。中には間違った抗体を使っているにもかかわらず期待通りの結果を示したとする論文もあった。この指摘を米科学誌サイエンスも報じた。

















