「この数字に、
お前の思いが入ってるとは思えない」
35歳の時、本部長にそう言われた。
会議で資料を突き返された人は、
両手でも数えきれないくらいだった。
海外販社から上がってきた
今年度の見込み数字を、
そのまま資料に貼って出した日だった。
その夜、数字を一つずつ分解した。
上振れするなら、どこか。
下振れするなら、どこか。
それぞれに、打てる手を並べた。
気づいたら朝だった。
徹夜して作ったエクセルを、
本部長に出した。
最後までめくって、本部長が言った。
「すごく良くなった。
よく考えてくれたな。ありがとう」
本社の担当は、
販社の数字を運ぶ御用聞きじゃない。
そう自覚したのは、あの朝だった。
怒られた回数は、もう覚えていない。
褒められた1回は、言葉まで覚えている。
JTCで限界まで抱え込むのは、だいたい優秀な人。
入社のハードルを越えてきた人ほど、大きな挫折を知らずにここまで来ている。
しかも真面目だから、「せっかく入った会社を途中で辞める」という選択肢が、最初から頭にない。
そして、頑張るほど、仕事が集まる。
限界が来ても、「ここで土をつけるわけにはいかない」と、もう一段頑張ってしまう。
会社は、その真面目さに甘える。
自分が輝ける場所は、1つの会社とは限らない。
それを、限界が来る前に知っておくだけで、会社員人生は大きく変わる。
すぐ受けた20年も、持ち帰った20年も、たぶん間違いじゃなかった。
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