「同性婚がなくても、ゲイの男性は女性と結婚できる」
同性カップルが国を訴えた札幌の裁判で、
国はこれを理由に、差別ではないと主張した。
ゲイの男性が恋をする相手は、男性だ。
だから「女性となら結婚できる」は、
「恋できない人となら結婚できる」と同じ意味だ。
恋をしたことがある人なら、このつらさがわかる。
裁判所は、国のこの主張を認めなかった。
ゲイの男性が女性と結婚できても、
平等ではない、と裁判所は判断した。
ゲイの男性が、恋する男性と結婚できて、
はじめて男女の夫婦と平等になる。
同性婚は認めないのに、死刑囚の結婚は認める国がある。日本だ。死刑囚は、好きな相手が異性なら塀の中からでも結婚できる。税金を納めて法律を守る男性ふたりは、好きな相手が同性だから結婚できない。この国は、罪より性別を重く見ている!
「同性婚は要らない。好きにすればいい」
そう言う人に悪気はない。でも同性カップルは、
結婚するかしないかを、好きに選べない。
男女のカップルなら、どちらか好きに選べる。
届けを出せば、その日から夫婦になれる。
同性カップルは、どれだけ長くいっしょに暮らしても、
今の日本には同性婚がなく、結婚できない。
だから選べるのは「結婚しない」だけ。
一つしか選べないなら、それは「好きに」じゃない。
「好きにすればいい」と言うなら、同性婚は要る。
同性婚がないまま、30年一緒に暮らした同い年の男性ふたりがいた。片方の定年の日、もう片方は会社の前で花束を渡した。数年後、花束をもらった方が亡くなった。国は、夫婦なら受け取る資格がある遺族年金を、花束を渡したその手に渡さなかった!
同性婚がない日本で、中学生の陽菜のスマホが鳴った。
親せきのグループに「直人さんが退会しました」。
直人さんは男性で、陽菜のおじの恋人だ。
陽菜が書くと、いつも直人さんが一番に返した。
おじは先月、急に亡くなった。
直人さんは退会の前に、こう書いた。
「もう親せきではないので。ありがとう」
おじが女性と結婚していたら、
妻はおじが亡くなっても、陽菜の親せきのままだ。
でも男性どうしは、結婚できない。
だから法律では、直人さんは最初から親せきではない。
陽菜は直人さんを招待しなおし、
一番に「おかえり」と書きこんだ。
同性婚がない日本の国勢調査では、30年連れ添った男性ふたりが相手を『配偶者』と答えても、国は集計で『他の親族』に入れる。相手は、おい・めいと同じ扱いだ。籍を入れていない男女なら、配偶者のまま。籍がないのは同じで、分けているのは性別だけだ!
同性婚にはメリットがない?大ありだ。NPO法人虹色ダイバーシティの2023年の試算では、日本で認められれば、結婚式や指輪などだけで8,110億円の経済効果。家も保険も新婚旅行も、この数字には一円も入っていない。『メリットがない』の正体は、数え忘れだ!
同性婚の反対理由は、どれも一言で崩れる。『まだ早い』→オランダは25年前に始めた。『パートナーシップで十分』→30年連れ添っても相続人になれない。『国民の理解が』→世論調査では賛成が多数派。残るのは『同性だから』の5文字だけ。その5文字で、同性の二人の結婚を止めるな!
同性婚がないと、お父さんのサインはうそにされる。
娘のパスポート申しこみの、親の欄で。
娘には、男性の親がふたりいる。パパとお父さんだ。
連絡帳のサインは、お父さんの係だ。
娘は「パスポートも、お父さんの係でしょ」と言った。
パパとお父さんは、男性どうしで結婚できない。
だから親の欄に書けるのは、国が親と認めたパパだけ。
男女で結婚した両親なら、どちらが書いてもいい。
お父さんがサインすれば、うそにされる。
申しこみは、パパがサインした。
その夜も、連絡帳はお父さんがサインした。
うそにされても、お父さんは娘の親だ。
同性婚に反対しても、あなたの孫が誰を好きになるかは選べない。大人になった孫息子が彼氏を連れてきて『この人と結婚したい』と言ったら、その結婚にも反対する?今日の反対は、その願いに今から『だめ』と答えておくことだ!
同性婚の届け出を、国の考え方に従って断った市長が、その考え方に『憲法違反の強い疑い』があると書いた。これは三重県伊賀市長の公式コメントだ。断る側のトップが、断る理由の方を疑っている。なのに国は、疑われたその理由で同性の二人の結婚を止めている!
同性婚のない国の、「反日」。
同性婚を求める人は、よく言われる。
「反日だ」「日本の恥を、世界にさらすな」
世界の主な7か国、G7のなかで、
同性婚も、国が作る、結婚に近いしくみも
どちらもないのは、日本だけだ。
日本に同性婚がないことは、世界がもう知っている。
国連の会議で、アメリカとカナダが同性婚を求めた。
日本の政府は、受け入れなかった。
同性婚を求める人は、反日ではない。
願いは、好きな人と日本で家族になることだ。
だまっても、同性婚のない国の恥は消えない。
国会が同性婚の法律を作った日に、消える。
同性婚が認められても、あなたの金曜の夜は変わらない。賛成派も反対派も、いつもの店で一杯飲んで帰るだけ。変わるのは、となりの席で笑い合う恋人どうしの男性ふたりが、夫婦として互いの相続人になれること。あなたの夜はそのままで、ふたりの一生が変わる。
同性婚のない国の、ある法廷。
彼は、恋人の男性を車の事故で亡くした。
ふたりで暮らして、十六年だった。
事故を起こした運転手の、裁判の日が来た。
「ご家族の方は、前の席へどうぞ」
恋人の母が、柵の内側の家族席へ案内された。
恋人の母が座るのは、当然だ。
結婚していれば、夫や妻もこの席を頼める。
男性どうしは、婚姻届を出しても夫婦になれない。
彼は頼めず、柵の外のふつうの席から見ていた。
電車でも映画館でも、恋人の隣は彼の席だった。
恋人の事故の裁判で、彼の隣は知らない人だった。
同性婚を認めない今の法律こそ、憲法違反だ!どうせ活動家の言い分だと思って『逆だ、同性婚こそ憲法違反だ』と言い返したくなった人は、今の法律の方を憲法違反と判断したのが誰かも知らないまま、同性婚に反対している。
同性婚に反対の人へ。あなたが異性と出す婚姻届は、市長の後押しがなくても通る。伊賀市で男性ふたりが出した届は、市長が受理したいと言っても通らなかった。この差を性別のほかに説明できないなら、あなたの反対は、性別だけで結婚を止めようとしている。
同性婚を認めないのは、国によるいじめだ。国は法律で子どもにいじめを禁じ、仲間はずれもいじめに数えている。その国が、好き合う二人を、同性どうしというだけで結婚から外し続けている。子どもに禁じたいじめを、国は大人相手に堂々とやっている!
同性婚ができない日本人の彼は、
来月、恋人の男性と離ればなれになる。
恋人は外国人で、仕事の許可で日本にいる。
次の仕事が見つからず、日本にいられない。
隣の夫婦は、外国人の男ふたりだ。
自分たちの国で結婚したから、
夫婦として、ふたりで日本に残れる。
隣の夫婦が残れるのは、いいことだ。
でも恋人は、日本人の彼がいても残れない。
日本では、彼は男性と結婚できないからだ。
春、隣の夫婦が彼と恋人にレモンの木をくれた。
「黄色くなったら、四人でもごうね」
レモンが黄色くなるのは、十二月。
恋人が日本を出るのは、十一月だ。
同性婚に反対しているあなたへ。好きな人と結婚したいだけの同性の二人に、あなたはいったい何をされたの?何もされていないのに、相手が同性というだけで二人の結婚を『ダメ』と言うなら、あなたの反対は、ただの差別だ。

